2014年4月10日木曜日

「学校は仕事に役立つことを教えてくれた」の国際比較

 OECDのPISA2009の生徒質問紙調査では,「学校は仕事に役立つことを教えてくれた」という項目を提示し,どれほど当てはまるかを自己評定させています。対象は15歳の生徒です。
http://pisa2009.acer.edu.au/downloads.php

 選択肢は,①まったく当てはまらない,②どちらかといえば当てはまらない,③どちらかといえば当てはまる,④とてもよく当てはまる,の4つ。日本の場合,無回答を除いて集計すると,①が9.2%,②が26.0%,③が46.7%,④が18.1%となります。

 私は,強い否定(①)と強い肯定(④)の回答比率から2次元のマトリクスをつくり,この上に74か国を散りばめてみました。点線は74か国の平均値です。


 相対評価ですが,日本は否定が多く肯定が少ないので,右下の外れた場所に位置しています。15歳の生徒が回顧しているのは義務教育学校でしょうが,生徒目線による,そこでの職業教育の評価はこんな感じです。

 おそらく就労経験がないであろう15歳の生徒に,「仕事に役立つこと」が何たるかを判断することは難しいとは思いますが,他の先進国から大きく離れた位置にあることが気になります。また,受験競争が激しいなど,類似した社会状況の韓国が近くにあるのも象徴的です。

 義務教育段階の教育課程の問題なのか,日本は上級学校進学率が高いので,より上の段階で比較したら違った図柄になるのか…。いろいろ疑問はありますが,日頃のモヤモヤが可視化されたような印象を持ちましたので,ここに展示しておきます。