2014年7月23日水曜日

大学生の学業・バイト・交際時間の変化

 総務省の『社会生活基本調査』は,各種の生活行動の平均時間や実施率を教えてくれるスグレモノです。1976年以降5年間隔で実施されていますが,1986年から最新の2011年調査の結果はネットでみることができます。

 私は,この25年間(四半世紀)にかけて,大学生のメジャーな行動時間がどう変わってきたかを調べました。着目したのは,学業,仕事(バイト),および交際・付き合いの3つです。

 大学生のマジメ化がいわれていますが,学業(勉強)時間は増えてきているであろう。最近,学生のブラックバイトが問題化していますが,バイト時間は増えているのではないか。これらの反動として,交際時間は減ってきているのではないか。こんな仮説を持って,データに当たってみました。

 原資料には,①総平均時間,②実施者平均時間,③実施率の3つが掲載されています。私は各年について,平日と日曜の数値を採取しました。

 なお大学生の数値を拾ったのですが,1986年から2006年の調査では,調査対象者に大学院生も含まれています。まあ,サンプル中の院生の数は微々たるものですから,大勢に影響はないでしょう。


 まずは平日のデータです。観察期間中の最大値は赤字にしましたが,どうでしょう。学業時間は,総平均,実施者平均とも2011年がマックスです。長期的にみても,大学生の勉強時間は増えているのですね。ちなみに,学業時間が最も短かったのは総平均でみると1996年,私の頃ではないですか(223分)。なはは・・・。今の学生さんに顔向けできませんなあ。

 その代わりかどうかは知りませんが,96年の学生はバイト実施率が最も高くなっています。平均時間でみても現在より長し。私の頃のほうが,バイトはしていたんだな。まあ,これはあくまで平均値であり,ブラックと呼べるレベルのバイトをしている者の率でみるとまた違うでしょうが。

 あと一つの交際をみると,ほほう,実施率はみるみる下がってきています。1986年では29.2%でしたが,四半世紀を経た2011年ではほぼ半減しています。平均時間も短くなっていますね。

 平日のデータですが,大よそ,巷でいわれる学生の「マジメ化・ウチ化」の傾向がデータでも確認されました。では,今度は日曜日をみてみましょう。


 学業時間は昔のほうが長いですね。86年の平均時間は際立って長し。この年だけ,サンプルに院生が多く含まれていたのでしょうか。実施者平均でみると2011年が241分で最も短くなっており,平日と真逆です。その分,バイト時間は増えていることから,最近では「平日は勉強,休みの日はバイト」というような色分けがされているように思えます。

 交際・付き合いのほうは,平日と同じく,実施率がリニアに減少しています。しかし,実施者平均は2011年が272分で最大です。このことは,遊ぶ学生とそうでない学生の分極化が出てきていることを示唆します。大学進学率が50%を超える今にあっては,Fランク(Nランク)など,いろいろな大学がありますしね。さもありなんです。

 いかがでしょう。今回のデータの知見をまとめると,世間でいわれる「大学生のマジメ化・ウチ化」傾向が支持されるとともに,休日の過ごし方に,学生間の開きが出ていることも知りました。これは,私にとっては発見です。

 学生バイトのブラック化は可視化されませんでしたが,次回(2016年)の『社会生活基本調査』のデータでは,どうなっているか分かりません。観察を継続していきたいと思います。

 今日の統計法では,『社会生活基本調査』の調査票を受講生に配布し,記入してもらい,それを集計して「受講生の1日」を明らかにしてみようかな。それを全国データと比較すると。自分たちの生活の相対化です。結構楽しんでもらえるかも。