2015年2月1日日曜日

若者の失職・子育て不安の国際比較

 20代といえば,どの社会でも仕事や子育てが大きな関心事であると思われますが,当人らはこれらにどれほどの不安を抱いているのでしょう。

 『世界価値観調査』(2010-14)では,「失職や仕事が見つからないことが不安だ」と「子どもによい教育を与えられないことが不安だ」という項目を提示し,その反応を訪ねています。私は,各国の20代のうち,「とても不安だ(very much)」と答えた者の比率をとってみました。
http://www.worldvaluessurvey.org/wvs.jsp

 下の図は,横軸に失職不安,縦軸に子育て不安をとった座標上に,55の社会を位置づけたものです。点線は,55か国の平均を意味します。


 やはり仕事と子育ては関連しているようであり,この2指標の相関係数は+0.9194と大変高くなっています。

 右上には,アフリカや南米の国々が多く位置づいています。若者の失業率が何十%にもなる社会ですので,そうだろうなという気がします。その対極には,ワークシェアリングの本場オランダがあります。ちょっと上にはスウェーデンとドイツ。若者の不安が小さい社会です。

 日本は真ん中より少し下の辺りですが,先進国の中では,失職・子育てへの不安ともトップです。上記の数値は,「とても不安だ」という最も強い不安を表明している若者の比率です。今の日本では,失職への強い不安を持っている若者が半分以上という事実に注意しましょう。*南欧の社会は,もっと上かもしれませんが。